| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PC2-822
本研究はニホンモモンガPteromys momongaがよく利用する樹木の特徴を明らかにすることを目的とした。調査は2007年6月から2008年11月にかけて神奈川県丹沢と山梨県大菩薩嶺で行った。丹沢はスギ・ヒノキとフサザクラなどの広葉樹がパッチ状に混在する混交林、大菩薩嶺はウラジロモミとミズナラやシラカンバなどの広葉樹の混交林であり、両調査地の樹高は針葉樹が約20〜30m、広葉樹が約10〜20mであった。樹幹を通過する動物を撮影するために、自動撮影カメラを地上から約2〜3mの高さに樹幹に向けて設置するとともに、カメラを向けた樹木の樹高、針葉樹/広葉樹、樹洞の有無など9つの環境要素を記録した。カメラは1箇所あたり約30日間で、計214箇所に延べ7,317日間設置した結果、哺乳類は919枚撮影され、そのうちニホンモモンガは計91枚であった。本種の利用が確認された樹木とされなかった樹木について環境要素を比較したところ、ニホンモモンガは丹沢では高樹高の針葉樹を、大菩薩嶺では高樹高の樹木を有意によく利用していた。すなわちニホンモモンガは人工林におけるスギも含めて高樹高の針葉樹を移動経路として選択しているといえる。