| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
シンポジウム S02-4
現在日本では、1500種を超える外来生物が侵入・定着していることが知られている。しかし、侵入後旺盛に生育範囲を拡大させ、広範に生育している種がいる一方で、非常に限定された生育範囲しか示さない種も存在している。こういった差異を生み出すのがどのような生態的特性であるかを明らかにすることは,外来生物の侵入リスク評価などの応用的なニーズに応えるだけでなく,在来生物を含めた生物種の個体群動態を理解することにも貢献する.また,生育範囲の拡大のような空間動態は、対象とする空間スケール(grain size)によって強く作用する生態的プロセスが異なりうる.このことから,分布域の広さと関連する生態的特性は,複数の空間スケールから検討する必要がある.
これまでも,分布域の広さと関連する生態的特性の研究は行われてきたが,必要な情報の整備の労力などから多くは,限られた系統群のグループを対象にしていた.しかし近年、生物の面的な分布情報や生態的特性を電子データでデータベース化する動きが広がり、系統群を特定せず研究を行うことで、結果を一般化することが容易になってきている。
今回の発表は,北海道全域を対象として、系統群を特定せずに外来植物の分布域の広さと関連する生態特性を把握することを目的とした.外来植物(429種)の分布確認情報のデータベースと,文献調査から得た各種の種特性の関係を検討した.得られた結果から,1)外来植物の種特性と,種の分布域の広さの関係.2)関係性の空間スケールによる変化,について議論する.