| 要旨トップ | ESJ56 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
シンポジウム S02 -- 3月18日9:15-12:15 G会場
同じような環境変化にさらされながら、数を減らす生物がいる一方で、新たな場所へ急速に分布を拡大する生物も存在する。このような生物の空間分布や動態パターンの決定メカニズムの解明は、古くから生態学における重要な課題となってきた。近年では、種の絶滅リスク評価や外来生物の分布拡大予測さらには気候変動への生物の応答予測といった応用的・社会的ニーズも加わり、空間的・時間的に大きなスケールで生じる生態学的事象を対象とするマクロエコロジー分野の発展はめざましい。
マクロエコロジーが対象とする大スケールでの事象は操作実験によるメカニズムの特定が困難な場合が多い。その状況を補うために有効な手段の一つとして、多数の種もしくは機能群を対象にした比較アプローチ(種間比較)がしばしば用いられる。種間比較を行なうことで、どのような進化・生態的特性をもつ種(機能群)がより特定の環境変化に対して脆弱であるか、一方で新たな場所に移入した場合に高い侵略性を発揮するかといった生物の空間分布・動態パターンの決定メカニズムについての知見を得ることが可能になる。
生物の空間分布・動態の決定メカニズムを明らかにすることを目的に種間比較を用いた研究はマクロエコロジーの発展とともにその数を増しているものの、日本国内での例はいまだ少ないのが現状である。本企画では、幅広い分類群を対象に生物の空間分布・動態とその態学的特性との関係を分析した最新の研究を事例に、マクロエコロジーの考え方を紹介することとしたい。
[S02-1] マクロスケールにおける鳥類の分布決定要因と生態的特性
[S02-2] トンボの絶滅リスクと生態的特性との関係
[S02-3] 河川域における外来植物の侵略性と原産国での生態的特性との関係
[S02-4] 外来植物の分布パターンと生態的特性との関係
[S02-5] 植物の絶滅リスクと生態的特性との関係