| 要旨トップ | ESJ56 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
シンポジウム S11 -- 3月19日9:15-12:15 G会場
生態系は、人間活動に由来する負荷(汚染物質,生息地攪乱など)により改変されつつある。そこで私たちは、生態系・種・遺伝子レベルで起こり得る「生態リスク」を予測し、管理する必要に迫られている。
生態リスクとは、広義には生態系サービスを低下させるリスクをと定義できる。しかしながら、その意味するところは非常に多岐にわたる。その理由としては、生態リスクを理解/管理する上で、基礎生物学から応用生態学まで関連分野が幅広いこと、対象となる生物多様性の段階的スケールや扱う生態リスクの時間的スケールが様々であること、また、それらの情報をもとにプランや政策をたてる管理者側が期待する情報と研究者が提供する(あるいは提供できる)情報にギャップがあることなどが挙げられる。
いま生態学には、持続可能な生態系の維持管理手法の提示、さらにはそれを可能にするための社会システムへの提言などが求められている。そこで、景観・生態系・種・遺伝子といった各階層に関わる生態系サービスと生態リスクに関する研究、管理プランや政策立案といった場でのリスク管理研究を対象としたシンポジウムを設ける。そして、それぞれの研究対象での生態リスクの定義と応用例、評価・意志決定段階における判断基準、また、研究・実践上の問題点を提示し、共有したい。さらに、それらについて議論することで「生態リスクとはなにか?」を考える場を提供し、今後、異分野間での自由で開放的な議論を促進したい。
[S11-1] 化学物質の生態リスク評価:“生態リスク”の起源
[S11-2] 生態リスクマネジメントにおける留意点−生態系の非平衡性の観点から−
[S11-3] 森林樹木と生態リスク -保全遺伝学の視点から-
[S11-4] 都市域の緑地計画・管理における生態リスク
[S11-5] 生態系サービスへの支払いにおける潜在力と課題
[S11-6] 企業活動とリスク・コミュニケーション−生物多様性に関わる分析より−