| 要旨トップ | ESJ56 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


シンポジウム S17 -- 3月19日14:15-17:15 A会場

大型野生動物の保全と管理 - 頑健性の高い調査研究と対策を目指して -

企画者: 室山泰之(兵庫県立大学)

野生動物の保全や管理においては、さまざまな時間スケールや空間スケールの調査研究や行政施策が求められる。とくにヒグマ、ツキノワグマ、シカ、イノシシなどの大型野生動物では、食物資源量や気候変動などさまざまな要因が複雑に個体群動態や分布の変化に影響するため、必要な情報を収集し続ける調査研究体制が不可欠である。一方、人身被害や農林業被害、生態系被害などについては、その時点で明らかになっている科学的知見にもとづき、最適と考えられる行政施策を確実に実施しなければならない。野生動物の保全と管理を適切に推進するには、このような調査研究と行政施策をうまく連携させながらバランスよく遂行することが重要であり、そのためには、地域固有のさまざまな課題に対応しながら、継続して調査研究を実施し行政施策に反映するための「頑健性」が求められる。

今回の集会では、絶滅が危惧されている一方で集落への出没や人身事故が問題となっているクマ類と、個体数増加による農林業被害や植生破壊が問題となっているシカについて、異なる管理手法を展開してきた北海道と兵庫県の事例を示し、大型野生動物の保全と管理における「頑健性」の重要性について議論する。

趣旨説明・司会:室山泰之(兵庫県立大学)

[S17-1] ヒグマ個体群の保全と危機管理 小平真佐夫(知床財団)

[S17-2] ツキノワグマ絶滅危惧個体群における学習放獣と効果検証 横山真弓(兵庫県立大学)

[S17-3] エゾシカの管理と個体数の動向把握 宇野裕之(道環境科学研究セ)

[S17-4] 管理のための個体群動態予測に求められる3つの頑健性 坂田宏志(兵庫県立大学)


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