| 要旨トップ | ESJ56 自由集会 一覧 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


自由集会 W11 -- 3月17日15:00-17:00 N会場

生物群集の統一中立理論を楽しむ方法

企画者: 村上正志(千葉大・理), 島谷健一郎(統数研), 平尾聡秀(北大・苫小牧研究林)

Stephen P. Hubbell によって提唱された統一中立理論は、これまでニッチ理論で強調されてきた種間の機能的な違いを考慮しなくても、さまざまな群集構造を説明できることを示し、近年、群集生態学の発展に大きな影響を与えています。Hubbellの中立理論は発表以来、強い批判にさらされました。しかし、その批判の多くは中立性の仮定のみを問題にしており、このような批判の陰に隠れて、中立理論に多くの注目すべき側面があることが置き去りにされていると考えます。中立理論の特徴として、1)確率論的動態理論であること、2)データに基づいて検証することのできるサンプリング理論であること、3)分散制限や種分化のプロセスを組み込んだ理論でもあることを挙げることができます。つまり、群集生態学における中立理論の意義は中立性の仮定ではなく、これまでの理論では十分に考慮されてこなかったこれらの要素の重要性を示したことにあります。この自由集会では、中立理論の概念や理論的発展のレビューを紹介すると共に、個別研究を紹介します。そして、今後の群集生態学の研究に中立理論のこのような特徴をどのように生かしていけるのか議論したいと考えています。発表者は、村上正志(千葉大学)、島谷健一郎(統計数理研究所)、平尾聡秀(北海道大学)を予定しています。


日本生態学会