| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) I1-08

DLW法を用いたオオミズナギドリの野外活動時エネルギー消費量計測

*白井正樹, 山本麻希(長岡技大・生物), 牛島明美, 小田英美子, 新妻靖章(名城大・農), 山本誉士(総研大・極域科学), 海老根直之(同志社大・スポーツ健康科学), 岡奈理子(山階鳥研)

ミズナギドリ目ミズナギドリ科の海鳥は、繁殖地周辺での短期間トリップと繁殖地から遠く離れた場所への長期間トリップを行うことがいくつかの種で知られており、短期間トリップの方が単位時間あたりのエネルギー消費量が高いことが報告されている。これは、短期間トリップの単位時間あたりの着水行動の増加などが原因として考えられるが、体サイズの制約からこれまで採食中の行動とエネルギー消費量を同時に計測された例はない。本研究は、子育て中に長期間トリップを行うことが知られているオオミズナギドリを対象として、採食トリップ中のエネルギー消費量と行動の関係について明らかにすることを目的とした。

調査は2008年と2009年の8月から10月にかけて新潟県の粟島で子育て中の親を対象に行った。採食トリップ中のエネルギー消費量は、二重標識水法(DLW法)を用いて計測した。また、同時にジオロケーターを装着し、トリップ中の着水割合を調べた。2008年は30個体、2009年は20個体について計測を行い、それぞれ6個体と7個体から1〜4日間の野外活動時エネルギー消費量(FMR)を得た。オオミズナギドリの、着水、在巣期間も含めたFMRは、年による有意差はなく、0.0541±0.016 kJ・g-1・h-1(N=13)であった。これはオオミズナギドリの安静時エネルギー消費量(0.0137 kJ・g-1・h-1)の3.9倍に相当した。また、FMRとトリップ中の総着水時間および着水回数には、強い正の相関関係が見られた。本研究の結果から、採食トリップ中の着水行動がオオミズナギドリのエネルギー消費量そのものを増大させていることが示唆された。


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