| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(口頭発表) J2-03
繁殖に際して、多くの動物は配偶行動と新生児の成長のために適切な場所に移動する。そのような例は、甲殻類、淡水魚、両生類、渡り鳥、海獣などで普遍的に見られる。我々は、子孫の数が繁殖場の面積に比例するという第1近似の仮定を採用して、繁殖移動する動物の個体群動態の基本方程式を提案する。この方程式は、非常にシンプルなので解析解を持ち、繁殖場の破壊と劣化という環境問題を扱うのに有効である。その解によると、繁殖場における成体密度は繁殖場の破壊に伴って一時的に上昇するが、その後に、もとの密度に戻る。密度のピーク値は、破壊の面積が大きいほど、破壊の速度が速いほど、生態の生存確率が高いほど大きい。この方程式を応用して、琵琶湖におけるコイヘルペスの大発生を例にして、人為的繁殖場の減少に伴う成体の一時的高密度から生じる、個体群の病気発生リスクを検討する。