| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-002
屋久島の針広混交林の階層構造および樹冠撹乱が最大樹高に与える影響を調査した。2箇所の調査地(小花山および天文の森)とも針葉樹と広葉樹の間に明確な階層化がみられ、ヤクスギが林冠上部で優占し、広葉樹は林冠中・下部で優占していた。ほとんどの広葉樹の樹高はヤクスギの枝下高よりも低かった。また、最大樹高は針葉樹のほうが広葉樹よりも高かった。樹冠撹乱によってヤクスギの樹高は有意に低くなっていた。針葉樹の72-88%がなんらかの樹冠撹乱を受けており、幹折れや先枯れなどの撹乱がもっとも多かった。樹冠撹乱によって、ヤクスギの最大樹高は16-18%低くなっていた。さらに、撹乱を受けていない個体から推定される最大到達可能樹高よりも16-26%低くなっていた。これらの結果から、屋久島の針広混交林では樹冠木であるヤクスギの樹冠撹乱によって林冠高が決まり、そのなかで針葉樹と広葉樹が階層化することによって共存していることが示唆された。階層化による針葉樹と広葉樹の共存は混交林の生産性増大に寄与している可能性がある。