| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-012
乾燥地の木本は周囲の草本に様々な影響を及ぼすことが知られている。水や栄養塩をめぐって競争するだけでなく、hydraulic liftや肥沃の島の効果によって周囲の草本が水や栄養塩を利用しやすくする働きをも知られている。この効果は木本からの距離や木本と草本の種の組み合わせによって成長の促進から抑制まで様々に変化する。家畜の摂食に対しても、多くの木本は草本よりも嗜好性が劣るため、木本の存在が周囲の草本に対する摂食圧を上げるが、木本のすぐ近傍では家畜が食べにくくなるため守られる効果もある。
このように、木本は周囲の草本に対して成長の促進から抑制まで様々な効果を持ち、その効果は木本からの距離や種によって大きく異なることが知られている。一方で、さまざまな放牧圧の下で木本と草本の関係がどのように変化するかについての知見は乏しい。
この研究では、モンゴル中部のステップで、優占潅木のCaragana microphylla Lam.と周囲の草本の関係が放牧圧によってどう変化するかを明らかにすることを目指した。冬営地からの距離25,50,100,300,500m地点に同心円状に10m×10mのプロットを設置した。各プロットに25cm×25cmのサブプロットを設置し、潅木と草本の被度を測定した。プロットレベルでは冬営地からの距離の影響が大きかった。潅木は家畜にとっての嗜好性が高い多年生草本と同じように冬営地から遠い方が被度が大きく、一年草は冬営地に近い方が被度が大きかった。
さらに、サブプロットレベルでの潅木と草本の分布特性を解析し、発表する。