| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-036

中国内モンゴル自治区シリンホト草原における草原特性と地域利用方式による植生の相違

*李強(横浜国大・院), 藤原一繪(横浜国大・院)

中国内モンゴルでは、気候的、立地的に草原が広く発達している。主として放牧と刈り取りによる経済利用が行われている(王沢環,2007)。草原の放牧制度の変遷につれて、過剰利用による荒廃した草原が増加して来た。本研究ではシリンホト草原の利用方式による地域草地植生の相違、さらに植生を基盤とした合理的な利用方式の検討を行う。植生調査は,選定した12箇所において,Braun-Blanquet(1964)の植物社会学的方法を用いて2008年から2009年にかけて行った。

現地調査で得られた280の植生調査データを基盤として抽出された群落の構成種の生活形と水分生態類型により群落特性を解析した。

放牧地、刈り取り地と囲まれ地の利用方式において、共通種としては主にLeymus chinensis、Cleistogenes squarrosaとSalsola collinaなどである。本研究ではStipa kryloviiとCarex duriusculaが重度的な放牧の指標種として抽出した。それ以外、Stipa grandis、Serratula centauroidesとAllium bidentatumが刈り取りの指標種として抽出され、Agropyron cristatum、Kochia prostrataとAllium tenuissimumが囲まれ地の過放牧から回復する過程の指標種として抽出しました。

また構成種の生活形では、放牧地では一年生草本の割合が一番多かった。刈り取りでは灌木と多年生草本の割合が多かった、囲まれ地の灌木の割合は放牧地の灌木の割合より多かった。水分生態類型では、放牧地の乾性中生植物と中生植物の割合が多かった。刈り取り地では中性乾生植物の割合が多かった。囲まれ地の耐乾性植物の割合が一番少なかった。


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