| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-042
人間活動の影響を受けて形成されてきた里山は、1960年代以降、エネルギー革命や肥料革命により次第に管理放棄が進み、畑や水田も里山の奥の不便な所から耕作が放棄されスギやヒノキが植林されて森林化したところもあれば、アズマネザサの薮や、ミズキ、クマノミズキ、アカメガシワの二次林に遷移したところもある。里山の主要な立地のひとつである丘陵地の場合、地形が植生に大きな影響を与えるということがわかっており、地形と管理の両方を考慮した植物相の把握が必要である。また放棄された夏緑性広葉樹二次林とともにスギ・ヒノキ人工林を含めた里山林を一体的に管理することで、里山林で保全される植物相の多様性を明確にした事例はほとんどない。そこで本研究では、多摩丘陵のスギ・ヒノキ人工林を含む里山林において管理と微地形が林床植生へ及ぼす影響を把握することを目的とした。
近年の管理程度の異なるスギ・ヒノキ人工林と夏緑性広葉樹二次林に丘陵頂部から谷底部にかけて、頂部斜面、上部谷壁斜面、谷頭凹地、谷底面を含む調査ラインを8本設置し、各ラインにそって連続する2×2mの調査区を設定した。調査は2009年6月から11月に行い、植生調査は2m以下の林床植生において植物種と被度を調べた。立地環境調査として土壌含水率と傾斜度及び相対光合成有効光量子束密度を測定した。
全214調査区から種子植物126種,シダ植物27種の計153種が出現した。TWINSPAN法による分析の結果、調査区は林相、管理タイプ、微地形型の違いにより7群落型に分類された。またDCA法により序列化を行い、1軸スコアにはTWINSPAN法により分類された7つの群落型が序列化され、土壌含水率と正の、相対光合成有効光量子束密度と負の相関があった(Pearsonの相関係数;P<0.01)。