| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-046

扇状地河川における微地形が植物分布に及ぼす影響

*齊藤瑛璃香(新潟大・院・自然研),石田真也(新潟大・院・自然研),高野瀬洋一郎(新潟大・超域研究機構),紙谷智彦(新潟大・院・自然研)

ワンドは、増水時の網状流路が本川から取り残されてできるすり鉢状の起伏に富んだ地形であり伏流水湧出により多様な水分環境が維持されている。そのために、ワンドでは河川敷の他の環境に比べ、特異な物理環境が形成される。演者らはこれまで、ワンドには多様な植物種が出現し、それは緩やかな水位変化と細砂の割合が高いことによることを明らかにした。本研究では、扇状地河川域における微地形の物理的環境が河川敷における植物種の分布に及ぼす影響を明らかにする。

調査地は、新潟県五泉市の早出川中流域である。河道の両岸にある4ヶ所のワンドと、それらの周辺から相観植生の異なる15サイトを選んだ。各サイトには1m×20mの植生調査ベルトを2〜5本、計56本設置し、1ラインにつき1m×1mのコドラート20個を設けた。各コドラートでは、出現した維管束植物の種名を記録するとともに、表層土壌を採取し、粒径を4区分に分類した。また、各コドラートでレベル測量、高精度GPS標高測量を行った。さらに、ワンド内には水位計を設置し水位変動を記録した。

その結果、河川敷の各サイトごとに特異的な種が出現した。特にワンドでは、湿生種が有意に多く出現し、他のサイトとは異なる種組成を示した。環境特性と植物の生活史特性を関連づけ、河川環境に特異な種を維持するために必要な条件について議論する。


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