| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-059
都内多摩地区のコナラが優占する二次林(雑木林)において樹木の分布様式と構成樹種の生存率を調べた。調査地を96個の10m平方区に分割し、樹木の経時的変化を追跡した。次の結果が得られた。
1.2000年調査時の全調査木の分布はランダムに分布しているとみなせたが、生木のみで解析すると、ランダム分布から有意に離れ、一様分布とみなせた。2006年では残存樹木が約1割減少し、より一様に分布するようになった。2000年の全樹木(枯木+生木)、生木および2006年の生木のIδ指数が経時的に徐々に減少することからも、調査地の樹木の分布が一様になっていくことがわかった。
2.樹木の生存率は平方区内の密度と相関がなく、枯木はランダムに分布した。アカマツが6年間の調査期間中に全滅し、コナラはその他の樹木に比べ枯れる割合が高かった。
3.コナラ・クヌギは調査地点において高木層を占めているが、それらの細いものは同種の太いものに比べ生長が悪く、枯れる割合が高かった。一方、亜高木層のエゴノキは太くなるにつれ生長が鈍る傾向にあった。
4.調査中に伐採された樹木の年輪数は80から90で、過去、一斉に更新した可能性が考えられた。若い個体がみられなかった。何らかの手立てを施す必要があると思われた。