| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-072

鳥取砂丘における海浜植生の構造と近年の変動

永松 大(鳥取大・地域)

鳥取砂丘の海浜植物群落保護管理は地域社会の重要課題であるにもかかわらず,これまで科学的に検討されることがなかった。これは風により刻々と地形が変わる広い砂丘内で海浜植物の構造を精密に調査することができなかったためである。本研究では,GPSとGISを用いて幅,奥行きともに1kmを越える大空間スケールでの海浜植生の個体群構造を解析した。

群落ごとに種別被度と分布面積から植物種ごとの生物量を推定した。土壌水分調査を行い,表層土壌の乾燥度を把握した。地形構造を解析するため10mメッシュ標高地図を基にGISを使って地形指標を決定した。さらに鳥取砂丘内の飛砂(sandblasting)量,塩しぶき(Salt spray)量の空間分布を周年調査した。Sandblasting量は市販のOHPシートが飛砂により不透明化する現象を利用して測定した。この結果,Sandblasting量は海側や砂丘内の東側,西側で強く,内陸側中央部あるいは砂丘植物が存在する場所で弱い傾向があった。

上記のデータを利用して海浜植生の分布と地形・水分・飛砂などとの関係を解析した。コウボウシバの分布は地形や土壌水分が関係しており,コウボウムギやケカモノハシなどの優占種は分布が広く,地形構造からは分布が説明できないこと,などが明らかとなった。本発表ではこれらの結果について詳述する。


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