| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-077

落葉広葉樹林におけるヤドリギのホスト選択性

鍵本忠幸(岐阜大院・応用生物)*,加藤正吾,小見山章(岐阜大・応用生物)

ヤドリギは、暖帯から温帯にかけて生育する半寄生性常緑低木で、尾根地形に生育する樹木上に多く分布する。種子散布を果実食鳥類に依存し、鳥類は見通しのよい樹木の梢端に長く滞在するとされる。樹冠が周囲の個体より上部に突出している樹木では、樹冠周囲の見通しがよく、鳥類に利用されやすいと考えられる。一方、地形に関わらず、孤立した樹木では樹冠深部まで光が当たり、光発芽種子であるヤドリギの発芽・定着に適している可能性が高い。本研究では、様々な地形要素を含む場所に多種多様な落葉広葉樹が生育する林分において、ヤドリギの分布状況を樹木個体の孤立や突出の度合いから検討した。

岐阜県高山市に130m×130m(水平面積1.69ha、標高1050m)のプロットを設置し、胸高直径(以下、DBH)20cm以上の樹木に対して、樹種、DBH、ヤドリギの出現数、GPSにより立木位置を記録した。また、アロメトリー式により、DBHから樹高、樹冠投影面積を推定した。

プロット内の立木密度は240本/ha、胸高断面積合計BAは29.8m2/haであった。確認された樹種は23種で、ミズナラが相対密度で47.0%、相対BAで51.3%と、高い優占度を示した。ヤドリギの寄生は54本の樹木にみられ、総出現数は317であり、その89.0%がミズナラをホスト樹木としていた。プロット内の樹木の樹高、樹冠投影面積、および立木位置の座標から、孤立や突出の度合いを算出し、ヤドリギ出現数との関係について考察した。


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