| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-081
水分供給の時間的不均質性(水分供給頻度の違い)が成長におよぼす影響は、水需要等の特性によって植物種間で異なる。そのため、水不均質性は植物種間の競争関係を変化させる可能性がある。さらに、水不均質性の影響は栄養塩量・個体間相互作用の強さによって変化しうる。そこで、水不均質性・栄養塩量・生育密度の組合せが種間競争におよぼす影響について、栽培実験により検討した。
材料にはホソムギとシロツメクサを用いた。水不均質性(高・低頻度給水)、栄養塩量(富・貧栄養)、生育密度(4・16個体/鉢)、競争条件(ホソムギ:シロツメクサ=100:0、75:25、50:50、25:75、0:100)の4要因を設定した。種内競争条件(100:0、0:100)と種間競争条件(75:25、50:50、25:75)で、個体群の重量を種ごとに比較し、種間競争による成長の変化を競争指数により評価し、4要因分散分析によって解析した。
ホソムギはシロツメクサよりも重量が小さかった。ホソムギの成長は種間競争条件では、種内競争条件よりも減少し、特に低頻度の給水下で顕著だった。シロツメクサの成長は種間競争条件では、種内競争条件よりも増加し、特に低頻度の給水下で顕著だった。しかし、高頻度の給水下では種間競争条件での成長増加が小さかった。
ホソムギは低頻度の給水下で特に、種間競争によって成長が抑制された。一方、シロツメクサは種間競争よりも種内競争によって成長が抑制された。しかし、高頻度の給水下では、種内競争と比較して種間競争の影響が相対的に強まった。そのため、ホソムギとシロツメクサの競争力の差は低頻度の給水下で大きく、高頻度の給水下で小さいと考えられる。以上から、種間競争は水不均質性によって影響されうることが示唆された。