| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-082
八甲田山において,冷温帯および亜高山帯の優占種であるブナとオオシラビソについて,その動態に与える温暖化の影響を把握することを目的とした。手始めとして,両種の分布境界における肥大成長の経年変化を年輪幅の測定によって調査した。
八甲田山におけるブナの分布は400〜900m、オオシラビソの分布は900〜1400mであるため,調査プロットを400m, 600m, 800m, 900m, 1000m, 1200mにそれぞれ2か所,1400mに1か所設定し,毎木調査をおこなった。同時に,それぞれのプロットで約10個体ずつ成長錐によってコアをサンプルし,1年ごとに年輪幅を1/100mm単位で計測した。
ブナもオオシラビソも,標高が高くなるにつれ,個体サイズ(直径,樹高)が小さくなり,とくに1000m以上では,積雪の影響を受けた樹形も多い。平均成長速度は,最近30年間でゆるやかな減少傾向にあるプロットが多かったが,一部で異なったパターンも見られた。これらのデータをもとに,分布域周辺での成長速度の変化や,気候変動の影響を解析,考察する。