| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-263
静岡県掛川市東山地区に存在する茶草場とよばれる半自然草地には,貴重な草地性植物が現存している。そこで,この茶草場に多様な植物種が存在する要因を明らかにするために,東山地区における明治時代以降の土地利用,特に半自然草地や疎林の分布や面積の歴史的変遷を明らかにすることを目的とした。
本研究では,1889年測量の1/2万地形図,1962年および2007年の空中写真を資料として用い,半自然草地(地図記号上の荒地),疎林,茶園について各年度の分布図を作成した。
半自然草地の面積については,1890年代から1960年代,2000年代と連続的に減少傾向が認められた。さらに,かつては大規模パッチとして存在していた半自然草地が,森林や茶園に変化する傾向も認められた。一方で,1960年代から2000年代にかけては,耕作放棄や茶園の拡大に伴い,新しく草本植生が分布する場所も認められた。
また,本地域に現存する茶草場は形状や面積に基づき幾つかの類型に区分されるが,このうち多様な植物種が残存し大面積で維持される共有地型草地については,明治時代から継続した草地履歴を持つものが多いことが明らかとなった。