| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-064

ヤマアカガエル集団間集団内での免疫関連遺伝子の多様性

*高柳真世, 金成安慶, 松島野枝, 牟田達史, 河田雅圭(東北大・院・生命科学)

近年多くの両生類が減少していることが知られているが、その主要な要因の一つとして病原体の感染が考えられている。適切な保全を考える上で、両生類の病原体に対する抵抗性を維持することが重要である。カエルの皮膚上には、感染抵抗性を担う自然免疫系で機能する抗菌ペプチド(AMP)が分泌されている。AMPは抗菌性のあるタンパク質の総称で、幅広く多細胞生物に存在しているが、特にアカガエル科ではその多様性の高さが特徴的である。AMP遺伝子産物において、細胞内での輸送などに関わる部分のアミノ酸配列は保存性が高いのに対し、AMP本体として働く成熟ペプチド部分の配列は種間種内で非常に多様である。この多様性は何らかの選択圧によって生じたと考えられ、同種の集団間でも遺伝的な違いが生じている可能性がある。集団間のAMP遺伝子の配列や頻度を比較し、多様性がどのような要因で維持されているかを調べることは、自然免疫関連遺伝子の多様性と病原体に対する抵抗性の関係を明らかにする上で重要だと考えられる。

ヤマアカガエルにおいて、AMPグループの一つであるTemporin1に分類される抗菌ペプチドは7種類見つかっており、また個体によって異なる種類のTemporin1の発現が観察されている(Ohnuma et al., 2007)。しかし、それら異なるAMPのゲノム上の遺伝子座やアリル関係についてはわかっていない。そこで本研究では、複数集団から採集したヤマアカガエル個体についてTemporin1遺伝子のゲノムDNAクローニングを行い、遺伝子座やアリル関係の一部を明らかにしたので、現在までの結果を報告する。


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