| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-089
人類が生態系から享受している恩恵を総称して生態系サービスと呼ぶ。その内訳は概念的に,すべての生命現象のおおもととなる基盤サービスと,食料などの供給サービス,洪水制御などの調整サービス,そして文化的サービスの4つに大別されている。人間活動が現状のまま続くならば,生物多様性のより一層の劣化とそれに伴う生態系サービスの低下を避けることができないと,広く信じられている。しかし,生態系サービスと生物多様性の関係についてはまだ十分に理解されていない。中でも文化的サービスは,生物多様性保全に市場が資金を拠出する動機付けとして極めて重要な位置を占めているにも関わらず,議論の俎上に載ることさえ稀である。なぜなら,文化的サービスを量的に評価することが極めて困難だからである。そこで本研究では,各生物種に対する一般市民にとっての関心の高さが生物多様性の文化的サービスを量る上でよい指標となると考え,それを量的に評価するために生物名のインターネット上での出現頻度を算出し,解析をおこなった。データ収集はコンピュータープログラムによって自動化し,Google,Google Scholar,Google Imageの3つの検索エンジンを用いた。検索対象には,日本に生息する両生類以上の脊椎動物の和名と学名を用いた。本発表では,得られたデータセットの解析結果について議論をおこなうとともに,今回用いたアプローチのさまざまな可能性について紹介する。