| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-144
近年、同一分類群やギルドに属する群集(生態群集)の形成プロセスに関する研究が進んでいる。連続的なハビタットである河川では、対象とする流程において下流ほど種数が増加するというパターンが広く認められている。その要因としてハビタットの大きさの増加、環境異質性の増加、種の供給の多さなどが挙げられているが、それらの要因の相対的重要性およびプロセスはあまり明らかになっていない。とくに空間スケールに関して、淵のようなパッチや流域のような広大な地域スケールの研究は報告されているが、その間をつなぐ研究は少ない。
そこで、本研究では局所群集としての支流域における魚類の群集集合に影響を与える要因を検討した。
調査は河川中流域に位置する支流の流程3km程度の範囲を対象に行った。今回対象としたスケールは1世代に個体の移動が可能であると考えられるスケールを考慮して選定し、対象範囲内に26の調査地点を設定した。
分析は、各調査地点(パッチ)における種の在−不在データを用いた出現パターン、構成種の体サイズ重複について帰無モデル分析を行った。また、ハビタットの大きさ、環境の複雑さ、種供給源からの距離の種数に対する説明力の大きさを評価した。
以上より局所スケールにおける魚類群集の形成に影響を与える要因およびその形成プロセスについて議論する。