| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-HS01
オカガニは陸に棲みながら、幼生期を海で過ごすため、繁殖期の満月前後の夜には、海岸でメスが放卵する行動が観察できる。1996年に宮城島での産卵降海についての論文があり、それと比較できることから、宮城島でオカガニの繁殖生態に関する調査をした。まず1996年調査と同様に海岸線での出現個体数をカウントした。5月〜10月の満月の夜の2日前から満月の日までの3日間、19:30〜21:30まで30分おきに計4回、海岸線でルートを決め、出現した個体数を記録した。海岸線から最も近い幹線道路でも、出現個体数をカウントした。また、同日・同時刻に調査区域で見つけたオカガニを採集し、甲長・甲幅・はさみの大きさを測定した。測定したオカガニの各脚にマーキングした。
6ヶ月の調査の結果、海岸線では計1027個体、道路調査では計1249個体のオカガニを確認した。捕獲した175個体の各部位の測定結果は、甲幅3.4cm〜8.4cmで、平均6.3cmだった。13年前と比べ、全体の産卵個体数に大きな差はないが、産卵時期が1ヶ月ほど早くなっていることがわかり、産卵生態の年変動が示唆された。また、マーキング個体の再捕獲により、オカガニは少なくとも年2回は産卵できることが確認できた。宮城島は車の通りが少ないにもかかわらず総轢死個体数が50個体以上あり、これは、オカガニが2度産卵できることを考えると、数千万粒の卵の損失となる。