| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-HS03
岐阜高校自然科学部生物班では岐阜県内のカスミサンショウウオの2地域個体群の現状を調査し、保護活動に取り組んでいる.マイクロチップの埋め込みによる個体識別,産卵状況の確認,遮水シートを使った産卵池の設置,卵嚢および幼生の保護・放流などを行い,岐阜市では,一昨年度は498個体,昨年度は1125個体,今年度は976個体を放流した.
また,遺伝的多様性の調査を行い,岐阜県揖斐川町産の8サンプル,岐阜県岐阜市産の12サンプルのmtDNAのシトクロームb領域の後半部分をシークエンスした.得られた塩基配列から,ハプロタイプ数は岐阜市が4つ,揖斐川町が8つで,両地点で2つのハプロタイプが共通であった.ハプロタイプ多様度は,岐阜市では0.894,揖斐川町では0.786であり、岐阜市,揖斐川町の両個体群とも遺伝的多様性の著しい低下は認められなかった.また,ハプロタイプ間の遺伝的距離を求め,系統樹を作成した結果,すべてのハプロタイプ間の遺伝的距離は小さく,愛知県,三重県のカスミサンショウウオと同じクレードに含まれた.