| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-HS10
群馬県の北部に位置する武尊山(ほたかやま)の標高1500m〜1750mの県企業局水源の森(ブナ・ダケカンバ・オオシラビソ)において、巣箱を使ったヤマネの調査を2006年から行っている。
巣箱は登山道沿いに約50m間隔でライン状に50個、標高1750m付近に約100m四方の範囲内に約50個設置した。
調査期間は5月〜10月とし、毎月下旬に巣箱の内部を観察し、入っている巣材や動物の種類と個体数、ヤマネの場合は繁殖状態を確認するという方法で行った。また、利用が確認できた巣箱に、自動撮影カメラを設置し、ヤマネの撮影を試みた。
これまでの調査により以下の成果が得られた。(1)巣箱の設置木と巣材の種類には関連性があり、設置木の樹皮またはそれに付着するコケなどを利用すること、(2)巣箱を利用する動物による巣材と巣の形状の違いについて差異があること、(3)ヤマネについては休眠用の巣と繁殖用の巣の形状に違いがあること、(4)繁殖の時期が7〜8月であること、(5)自動撮影機によるヤマネ、ヒメネズミの撮影に成功したこと、(6)オオシラビソ林内での利用が3例見られたこと。
今後は、これまでの調査を継続してデータを積み重ねること、オオシラビソ林内でのヤマネの動向についての詳細を明らかにしたい。