| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-HS17

都立翔陽高校(東京都八王子市)のアナグマの生態について

米持萌(都立翔陽高校)

都立翔陽高校は、東京都八王子市の高尾山から多摩丘陵にのびる基部にある。校地面積の約4割を雑木林が占め、コナラを中心とする雑木林の樹種は約120種と多様である。

この雑木林内に動物の巣穴(直径30〜50cm)を数ヶ所みつけた。そこで昨年、使用していると思われる巣穴の前に自動撮影カメラを仕掛け、どのような動物が生息しているか調べたところ、アナグマの生息を確認した。その後の自動撮影カメラの写真と巣穴付近の実地調査により、以下のことがわかった。

(1)アナグマの巣穴は深く、出入り口の前には穴をふさぐような木の根がはっている。(穴が同じ場所に2ヶ所あることが多い。奥でこの2つの穴がつながっているのかは不明である。)

(2)アナグマは巣穴付近に穴(深さ5〜15cm)を掘り、そこに糞をする。(同じ場所に溜める。)

(3)冬季には、アナグマが生息している巣穴をタヌキも使用している。

(3)に関しては写真のみの確認であるが、同日に同じ巣穴の前でアナグマとタヌキが撮影された。昨年、アナグマが使用していた巣穴から、今冬にタヌキが出てきたことが確認されたため、同じ巣穴を使用していることが示唆される。

アナグマは冬季に冬ごもりをするので、その間は撮影できないが、今後もカメラを何ヶ所かに設置し、タヌキなどの巣穴を使用する動物の様子や、巣穴の深さ、糞を分析して食性を調べていきたい。また、写真からアナグマやタヌキの個体識別をして、社会構造などを明らかにしていきたい。


日本生態学会