| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-HS24
私たちは平成19年度課題研究「付着珪藻からわかる水質」より、珪藻と水質に関連性があることに興味を持った。環境の変化・調査地点の追加を含めた継続研究を行い,地点や水質によって珪藻の出現頻度・種が変化するのかということについて調べることを目的とした。
調査地点は岡山市北区にある笹ヶ川を上流・中流・下流の3地点とした。実験方法は、各地点の川底から石を採取し、歯ブラシでその石に付着した珪藻を擦りとる。次に採取された珪藻をホルマリンで固定し、重曹で有機物を除去する。そして珪藻標本を作成し、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察する。最後にその珪藻標本から見つけた珪藻の種を同定する。
同定した結果、下流では個体数が最も多く、中流では少ないことがわかった。また、上流では出現種が偏り、下流では最も種類が多いことがわかった。そして、平成20年度理数科課題研究のデータを利用して、今回調べた川の上流・中流・下流の3地点における水質の変化を調べた結果、3地点の水質には違いがほとんどみられなかった。しかし、今回の調査では地点ごとに珪藻の種数や個体数が違ったことから原因は水質以外にあるのではないかと仮説をたてた。また、上流から下流に下るにつれて民家などから排出される生活廃水などにより、水質は上流に比べ富栄養化するのではないかと仮説をたてていたが、下流に下るにつれて貧栄養性の珪藻が多く見られたことから、下流地点の水質は透明度が高いことがわかった。よって、珪藻は透明度が低い水質ほど出現種が限定され、透明度の高い水質ほど種類が豊富であるという結果が平成19年度の先行研究の結果と一致した。
最終的には水質以外の要素として,川の流速や周りの環境も含めて総合的に考察したい。