| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-HS27

グッピー(Poecilia reticulata)の遺伝に関する一知見

紅林尭樹(成蹊高校)

グッピー(P. reticulata)の遺伝については、♂から♂、♀から♀に伝わる遺伝的特徴などが詳しく調べられており、1本の染色体に何種類もの遺伝子が含まれていることがすでに分かっている。しかし、実際にグッピーを飼育してみると、すでに知られている遺伝様式に当てはまらない表現型の個体が数多く見受けられ、既知の遺伝の仕組みでは説明がつかない個体も多数散見された。実際の遺伝の仕組みがどのようなものなのか確認するため、交配実験を試み、遺伝様式の正当性を検証した。

交配実験では、親の品種の特徴が既知の遺伝通りに子供に受け継がれなかった。特に体色については、親が持っていた体色が混ざったような、中間雑種と思われる個体が生じた。例えば、レオパードダニオとネオンタキシードのペアでは、本来濃青色の体色を持って生まれてくるはずの形質の個体が、エメラルドグリーンに近い体色を持つ上に、色自体の乗りが悪い個体が生じた。さらに、ゴールデンキングコブラとモザイクタキシード(レッド)のペアでは、本来親の表現型のどちらかが現れるはずの後半身に、何の模様も現れず、体色と同じ色になってしまった。また、各ヒレの模様はそのまま子供に遺伝したが、模様の入り方が弱く、スポットの入り方が雑になっていた。

グッピーの遺伝子は連鎖関係にあることが多いため、組換えが起きやすく、組換え位置によりF1の表現に大きなばらつきがでると考えられる。また、中間雑種のような個体が出現したり、親の特徴がきちんと現れない個体が出現し、不完全優性の存在が疑われた。性染色体でも同様な現象が起こると予想され、限性遺伝といわれている遺伝においても組換えが生じ、雌雄間でも遺伝子のやり取りが存在しうることが示唆された。


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