| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-HS29

グッピー(Poecilia reticulata)における個体成長とストレスの因果関係

桑祐子(成蹊高校)

狭い閉鎖環境で生物飼育を継続すると、生物にストレスを与える、と言われている。実際にそのような環境下で飼育をした場合、どのような影響が個体に現れるのか、同じ親から産まれたグッピーを個体群A,Bに分け、同じ環境条件(同水温・同水質下)で、個体群Aは狭い空間(一匹当たり330cm3以下)で飼育し、個体群Bは広い空間(一匹当たり10000cm3以上)で飼育した。餌は人工飼料(「Tetra Guppy」製造元・ドイツ テトラ社)を与え、食べられるだけ食べさせ、十分に与えた。毎週定期的に、水槽からグッピーを取り出し、体長測定器(アクリル製・手作り)に入れ、デジタルカメラで撮影し、体長測定器の底部に敷いた方眼紙を用い、比例計算で体長の算出を行った。10週間続けた結果、個体群Aの実質成長率が104.60%であるのに対し、個体群Bの実質成長率は203.51%であった。このことから、過度の空間ストレスを与えられたグッピーは成長率が低くなり、成長に悪影響を及ぼすことが考えられた。

グッピーは実験材料によく用いられ、かつ観賞魚として普及している魚種である。多くの場合、過密度で飼育されることが多く、実験材料として用いる場合は正確な実験データが得られない、また観賞魚としては良個体が得られないなど、過密度飼育はグッピーにおいても負の面が多いと考えられる。


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