| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-025
日本産両生類の多くは非繁殖期の生態に不明な点が多い。人間にとって比較的身近なニホンアカガエルでも、草地や比較的明るい林内で非繁殖期を過ごす事、様々な小動物を食べるジェネラリストである事などが知られているが、どのような場所でどのような食物を得ているのか十分に明らかにされていない。そこで今回、5月から11月初旬にかけて愛知県豊田市「豊田市自然観察の森」の「トンボの湿地」に隣接した里山林内に生息するニホンアカガエル成体を対象に胃洗浄法を用いて胃内容物調査を行った。また胃洗浄を行った個体を地図上にプロットし、林内調査地を5つの微小生息域に区分し、調査期間を初夏、夏、秋の3つに区分して何処で何時、何を食べているのかを調べた。同時にカエルの体サイズを5段階に分けて胃内容物との関係を調査した。尚、頭胴長4cm以上の個体を成体と見做し調査を行っている。
初夏に27個体、夏に28個体、秋に38個体の計93個体のアカガエル成体を捕獲し、胃洗浄を行った。胃内容物からは255の動物個体が発見され、どの季節でも昆虫類が70%以上を占めた。鞘翅目昆虫などは全ての季節で20%以上発見されたが、鱗翅目幼虫は秋に多く発見され、半翅目昆虫は初夏では少ないが夏と秋で個体数が増加するなど、食べられた動物群に季節的な変化が見られた。また、5つの微小生息域ごとに密度を比較した結果、広葉樹林、針葉樹林共の上部(急斜面及び尾根部)では草地や樹林下部の5分の1である事が判明した。