| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-158
人工林における生物多様性の保全や回復のための有効な手法の一つとして、木材生産を目的とした管理手法の代表的な施業である間伐が着目されている。そこで、間伐が生物へ与える影響を調べるため、下層植物と昆虫(ハナバチ、チョウ、ハナアブ、カミキリムシ)の種構成と種数・個体数を、約25年生の間伐したスギ人工林と間伐しなかったスギ人工林とで、間伐1年後と3年後に比較した。その結果、植物では1年後、3年後ともに間伐したス林と間伐しなかった林で種構成が変わったが、種数や被度には大きな違いがなかった。昆虫では1年後は、全てのグループで、間伐した林で種数が多く、また総個体数も多かった。ところが3年後にはハナバチを除くグループで種数には大きな違いがなくなり、カミキリムシでは総個体数にも大きな違いはなくなった。これらの結果から間伐は植物の種構成に変化を与えること、一部の昆虫の種数や個体数を短期間に増加させる効果があることが示された。一方で、間伐効果の有効性や持続期間は、対象とする生物によって様々であることが明らかとなった。