| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-164

エビモ(Potamogeton crispus)を用いた農薬曝露実験のためのバイオアッセイ系確立に関する研究

*細木大輔,池田浩明 (独)農業環境技術研究所

農薬のリスク管理は、農薬の登録を申請する際のモデル水域生態系に対するリスク評価に基づいて実施されている。このリスク評価法は,個体レベルの室内毒性試験を機軸としているため、実際の生態系からの乖離が問題視されており,生態系内における順応的なリスク管理を可能にするためには,野外での農薬影響の分離・特定手法を確立する必要がある。そこで本研究では、農業水路において農薬濃度が上昇した時期に被度の減少が確認されたエビモ(Potamogeton crispus L.)を対象に,室内バイオアッセイ系の確立を試み,検出された農薬を用いた曝露実験を行って,エビモに対する影響について検証することにした。室内バイオアッセイ系の確立に当たって,ASTMのMyriophyllum sibiricum Komarovを用いた毒性試験方法を参考にし,エビモの成長に適した温度などの条件について試験を行って把握した。供試体は,殖芽を発芽させて得た個体とした。殖芽は7月に採取して5℃暗条件で保存し,発芽後順次,明・暗期10℃12h,光量子束密度20μmol・m-2・s-1程度の環境下で水道水を用いて培養した。供試体は実験前に除藻処理するのが望ましいが,次亜塩素酸ナトリウム溶液およびエタノールを用いても,エビモ個体を生存させたまま付着した藻類を死滅させることは不可能であった。そのため,藻類を大量繁殖させずにエビモが成長可能な系の確立を検討した結果,明期15℃12h・暗期15℃12h,光量子密度77μmol・m-2・s-1,ASTM培養液(1/500倍濃度),pH無調整,pH緩衝剤無添加では,藻類の発生が目立たず,葉の白化などの傷みが少なく,相対成長率は0.75±0.23(10-2・day)で成長させられることができた。この条件で実際にエビモが生育する農業水路において検出されたSU剤系除草剤の曝露実験を行った。


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