| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-210
生態系の保全を考慮しながら持続的に木材生産を行なう方法を、シミュレーションモデルを用いて検討した.北海道の天然生針広混交林では、開拓期以来、択伐施業が広く行われてきた.従来の施業では、伐採により全てのサイズ階級にわたって樹木の成長や生残が改善されることが前提とされ、森林のサイズ構造や樹種組成を大きく変化させずに木材生産が可能になると考えられてきた.しかし、北海道北部の森林においては、全木調査をもとに成長率を正確に求め注意深く伐採率を設定している場合であっても、長期的に立木の蓄積が漸減傾向にあり、また樹種によってサイズ構造の変化も著しいことが報告されている.今後、生態系の保全も含めて持続的に天然林を利用するためには、これまでの伐採法を見直し、新たな指針に基づいた施業を行う必要がある.そこで本研究では、北海道北部の天然生針広混交林の蓄積・林分構造・樹種組成を維持しながら施業を行なうために必要な伐採法を明らかにすることを目的とし、個体ベース森林動態シミュレーションモデルであるSORTIE/NDによる検討を行った.北海道大学雨龍および中川研究林で得られた既存データをもとに森林動態の諸パラメータを推定し、伐採する樹木の量や種、回帰年を変えた場合や、更新補助作業の影響をシミュレートし、蓄積の変化、樹種やサイズ構造の多様度を評価軸として、最適な施業法を議論した.