| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
シンポジウム S05-6
琵琶湖水系における1960年代からのコカナダモ、オオカナダモ、ホテイアオイ等の外来植物の繁茂は深刻な社会問題にもなってきたが、近年新たな脅威となっているのが、特定外来生物指定種のミズヒマワリとナガエツルノゲイトウである。2004年に彦根市神上沼で初確認されたナガエツルノゲイトウでは、初期防除が行われず、発見当初の5パッチが3年後には沼の水域面積(7.2ha)の3割近くを占めるまでに拡大してしまった。2009年末には大津市・草津市等の琵琶湖岸50箇所以上でも定着が確認されており、彦根市と県が本格的な防除事業を開始しているが、根絶には多額の費用と労力が必要な事態になっている。一方、2007年に草津市矢橋で初確認されたミズヒマワリでは、発見直後からNGO近江ウェットランド研究会が中心となって防除活動が開始された。常に最新の繁茂状況を把握しながら、陸上・水上での除草を20回以上実施してきた。また、特定外来生物に関する啓発や情報発信も行い、市民・行政との連携・協働を模索してきた。その結果、2007年の生育量を大きく下回るレベルでの抑制に成功している。さらに、一年目の除草効率は生育場所により大きく異なっていたが、その要因検討に基づいて除草効率の向上が図られ、根絶に至る道筋が見えてきた状況である。一年目の除草効率が高かった区域の事例では、2008年、2009年の繁茂面積がそれぞれ2007年の26%、22%と推移していた。これは、前年に全く除草しなかった時の予測繁茂面積(前年の6.3倍と仮定)と比べた場合には、それぞれ予測繁茂面積の4%、13%のレベルに抑制されていたことを示しており、高い防除効果のあった区域とみなせた。