| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
シンポジウム S11-4
和歌山県北部において、1950年代、民営の観光施設からタイワンザルが逸走、野生化し、ニホンザルとの交雑、農作物被害などが問題視されている。1999年、和歌山県および和歌山タイワンザルワーキンググループが一斉調査を実施し、2群、合計約200頭が確認され、サルの多くが交雑個体の特徴を持っていることがわかった。この結果に基づき和歌山県は特定鳥獣保護管理計画を策定し、2001年から全頭捕獲を目標にした捕獲事業を開始した。その後、外来生物法が制定され(2005年施行)、タイワンザルは特定外来生物に指定された。
これまで主に7基の大型オリで捕獲が実施され、平行して分布域、群れごとの行動域、個体数などがモニタリングされている。また電波発信器を装着したメス個体が繁殖に参加しないように不妊手術も実施されている。これまでの総除去数は、2009年12月現在356頭、現在の推定残存個体数は3群合計約20頭である。
残存個体は捕獲オリを忌避していることから、捕獲方法の改善が必要となっている。また群れが非常に小規模なため、残存個体数の把握が通常の方法では困難でありモニタリング手法を開発する必要もある。この10年間の捕獲事業は93%除去という成果があがり評価できる。しかし残りの7%除去を成し遂げるためには、捕獲およびモニタリングの継続、体制の再整備が求められる。以上、これらの課題を克服し根絶を実現させたい。
なお和歌山で最終段階をクリアし根絶を達成することができれば、千葉のアカゲザル、伊豆大島や大根島のタイワンザルなど他地域に野生化している外来マカク対策にその経験が応用できると期待される。