| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T02-4

炭素循環・水文過程を考慮したモウソウチク林の機能評価

小林 剛(香川大・農)

モウソウチクは最も巨大なクローナル植物であり外来生物である。本種は西日本各地の里山二次林に急速に侵入し分布を拡大しており,それにともなう林分内の生物多様性の低下や地域景観の悪化が指摘されている。しかし,森林生態系の構造や機能に対するモウソウチクの影響は未だ十分に分かっていない。

本報告では,香川県におけるモウソウチク優占度の異なる林分において,地上部バイオマス・成長速度,リター生産量・分解速度および林内微環境などを数年間にわたって調査してきた結果の概要を報告する。すなわち,モウソウチクの侵入と優占は 1)過去のマツ枯れによる炭素保有量の減少を補償している,2)潜在自然植生と考えられる常緑広葉樹林よりも炭素保有量を低下させている,3)地上部から土壌への有機物・栄養塩供給を制限するようなリターと微環境を形成している ことが示唆された。

3)に関連する結果の例として,モウソウチクの優占度が高いほど土壌含水率は低い値となる傾向が挙げられる。気象因子との関係の解析から,モウソウチク林分内における降雨の分配様式がそのような土壌環境の形成に関わっている可能性が見いだされた。


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