| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T02 -- 3月16日17:30-19:30 C会場
里山の利用停滞や管理放棄が,景観や生態系の構造の大きな変容を招いていると指摘されるようになり久しい.とくに,西日本を中心とした竹林の激増に対し,その面積の拡大や立地条件との関係などが注目されてきている.企画者らは,生態学を含む多分野の研究者により,竹林景観ネットワークを組織し,様々な視点からこの問題に切り込んでいる.しかし,生態学において,分布の拡大に係る大型タケ類の生物学的特性や生態系の機能,生物間相互作用に対する竹林拡大の影響などは,未だ十分に調べられていない.
本集会では,竹林拡大に関する研究を概観した上で,大型タケ類が1)「大型のササ」とみなせるクローナル植物であり,2)モウソウチクのような「最も巨大な外来生物」を含んでいることに注目する.さらに竹林が,3)荒廃した植生のバイオマスや機能を補償する一方で,4)植生遷移,生物多様性や生態系の機能を抑制する可能性があることに視点を向ける.これらの話題から,生態学の視野から近年の竹林拡大の原因と結果について議論を深め,今後の竹林の動向,林分の管理技術や里山の保全活動などについて,幅広い分野からの参加者と意見交換をおこない,研究の方向性を探りたい.
[T02-1] 竹林拡大研究の現状と竹林景観ネットワークの活動
[T02-2] 竹林はどのくらい広がっているのか?
[T02-3] ササとタケ・クローナル植物としての拡大特性
[T02-4] 炭素循環・水文過程を考慮したモウソウチク林の機能評価
[T02-5] イノシシの生息環境としての竹林
[T02-6] 竹林の利用・管理の現状
[T02-7] 今後の竹林拡大研究における課題と方向性