| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T02-6

竹林の利用・管理の現状

谷崎ゆふ(福岡県森林技セ)

竹林のある風景は長く日本人に親しまれているが、昨今手入れをされず放棄されている放置竹林や他の土地に拡大侵入する侵入竹林が問題となっている。

福岡県では、竹林の約4割が放置竹林であり、放置竹林と侵入竹林合わせて年約1%拡大していると試算している。

竹林は、たけのこ・材の生産利用のほか竹林オーナーとしての利用が進んでいる。特に都市近郊では放置林対策としてのオーナー制度の創設が増えている。

侵入竹対策として、除伐後遮蔽板を埋め込み地下茎を遮断する方法や、竹幹に除草剤を注入する薬故殺が開発され実証されている。今後、生態系に配慮した故殺方法が課題である。

また、たけのこ生産は国産志向の高まりとともに増産傾向にあり、持続的な竹林管理が望まれる。生産者の高齢化に対応した省力型竹林管理として、中小型たけのこの生産技術が整備された。市場ニーズに対応する中小型たけのこを生産し、親竹を小型化して労働力の軽減を図る栽培方法であり、今後現場の普及が進むと思われる。

竹の成長力・成分特性に着目した竹バイオマス利用は今後ますます利用用途が拡大していくことが予想される。

農業分野での堆肥・敷料原料、土木分野での緑化資材として実証試験が行われている。また、民間では竹繊維・竹粉末に加工した食品・衣料利用が進んでいる。

今後、競合する外国産竹資源に対抗するには、竹の機能成分の解明とともに供給体制の整備が必要不可欠と思われる。


日本生態学会