| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T05-2

空から見た噴火影響と陸上生態系の回復

高橋俊守(宇都宮大・里山科学センター)

三宅島における2000年の噴火及びそれ以降継続されている火山活動に伴い、噴石、火砕流、降灰、高濃度の火山ガス等が発生し、これらの影響によって広範囲にわたって植生被害が発生している。植生を失った斜面は、大雨時に泥流やがけ崩れを生じやすくなるため、二次災害の恐れが懸念されている。このため、噴火後の植生被害の動態を監視することは、生態学的な側面に加えて、三宅島の復興や災害防止の観点からも重要である。そこで本研究では、衛星画像を用いた噴火後の植生の被害と回復の動態を表す地図の作成を試みた。

2000年の三宅島噴火の前後の期間を観測した衛星データとして、噴火前の観測データがあるJERS-1/OPSの4時期の画像と、噴火後の観測データがあるTerra/ASTERの8時期の画像を選定し、解析に用いた。噴火前、噴火後2年以内、噴火後3年以降に時期を区切り、それぞれの期間におけるNDVI最大値画像を作成して統合し、クラスタリングを行った。この結果、三宅島における植生の変遷過程を6パターンに分類した評価図を得た。衛星画像の分類と現地踏査の結果をもとに、三宅島における植生の回復過程について考察を加えた。この結果、衛星画像の分類で示されたパターンは、噴火直後の植生被害の程度とその後の植生回復状況によって解釈することが可能であった。


日本生態学会