| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T12-2
カワウの防除技術の開発や個体数管理を効果的に進めるためには、カワウがコロニーやねぐらからどのくらい離れた場所に餌をとりにいくのか、これらの場所は季節によってどのように変化するのかなどの情報が必要である。広い範囲を移動する鳥でこのような情報を得ることは少し前までは不可能に近かったが、今ではGPSで測位した位置情報をアルゴスシステムで回収する送信機を装着することで、1日あたり最大6カ所の位置情報を研究室にいながらにして得ることができる。講演者らは2007年から,愛知県と岐阜県下4カ所のコロニー・ねぐら(沿岸:美浜町「鵜の山」,弥富市「弥富野鳥園」;内陸:尾張旭市「愛知県森林公園」,輪之内町「船附鳥獣保護区」)で捕獲した8個体に、North Star社製のGPSアルゴス送信機(太陽電池型,30g)をつけて追跡調査を行ってきた。その結果、沿岸のコロニーの個体は海上を、内陸のコロニーは河川や湖沼を主要な餌場として利用していること、採食のための移動距離は15km以内であること、非繁殖期に数カ所のねぐらの移動を行ったあとに繁殖期にはもとのコロニーに戻ってくること、その移動距離は30-50kmであること,アユの放流時期に合わせてねぐらを移動させる個体がいること,育雛期にもコロニー以外の場所にねぐらをとる個体がいることなどが明らかになった.