| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T12 -- 3月18日15:15-17:15 B会場
カワウPhalacrocorax carboは,南アメリカを除く北緯72度から南緯47度の範囲で世界に広く分布する魚食性の鳥である.ヨーロッパでは,1980年代よりその個体数が増加しはじめ,各地で内水面漁業への被害が問題となりはじめた.国内では,1990年代以降,各地でカワウの個体数と分布域が激増し,ヨーロッパと同様に内水面漁業への食害が多く現れはじめたとされている.
これまでに,内水面漁業へのカワウ食害に関連して,カワウの食性について研究があり,餌生物の獲得に関する運動能力が高いとされている.また,カワウ被害を防除するため,漁場保護・追い払い・繁殖抑制・駆除などの対策がとられたが,いまだに解決していない.カワウは外来種ではないため,食害があるからといって根絶やしにすることは許されないため,個体数の持続性について十分に考慮したカワウ管理手法が必要とされている.上述したように,様々なカワウ被害防除が行われてきたが,国内では科学的な根拠に基づいて行われた例は少ない.
本企画では,これまでのカワウ被害防除において欠けていた,科学的な知見について,カワウの食害対策を行う上で必要なカワウの採食行動の特性,個体群管理を行う上で必要なカワウの繁殖の特性,個体群管理に関するモデルについて,最新の研究を紹介し,カワウの漁業被害の防除について検討したい.
コメンテーター 綿貫豊(北海道大学),高木憲太郎(バード・リサーチ)
[T12-1] 異なる環境を利用するカワウの繁殖成功
[T12-2] カワウのねぐらと餌場の季節移動
[T12-3] データロガーによって調べたカワウの採餌生態
[T12-4] 放流アユはカワウにとって重要か
[T12-5] カワウ食害対策と個体群維持:ハザードマップと個体群モデル