| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T29-5

世の中に生かすランドスケープの視点

*伊勢 紀,増澤 直 (株式会社地域環境計画)

景観生態学に代表される、広域的な土地被覆の状況や配置と生物の生息・生育(分布)状況との対応に関する研究は、土地利用改変などの人間活動の影響評価への適用が期待される。また、近年よく目にするようになった、環境の価値を「生態系」、「景観」、「生物多様性」などの側面から捉えようとする試みにおいても、ランドスケープの視点が必要とされ、社会的なニーズが存在する。これまで、広域的な現象は定量化が困難なことや、現地調査を行う場合の時間・金銭的なコストが高く、普遍的な結果が得られるほど研究が進んでいなかったが、近年のGISデータ及び解析ツールの普及に伴い徐々にその数を増やす傾向がある。とはいえ、未だ実務レベルで適用可能な成果は限られており、今後さらにこの分野の研究が発展することが求められている。

本稿では、著者らが日ごろの自然環境調査の業務において活用するランドスケープの視点を紹介する。具体的には植生・地形などを考慮した「環境類型区分図」、土地被覆を用いた「景観区分図」の考え方、近傍統計を用いた「緑地の連続性評価図」それぞれの作成方法、実務への適用事例を示し、研究レベル・実務レベルで共有できる課題や、それぞれの今後の展開について述べる。


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