| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T31-4
自殖集団は他殖集団に比べて有害な突然変異を蓄積しやすく、それによる高い絶滅リスクをもつことがこれまでの研究で理論的に予測されている。しかし、より現実的な状況を考慮するとこの予測が成り立たない場合がある。
本講演では、これまで考慮されてこなかった2つの要因が有害突然変異の蓄積および自殖集団の絶滅リスクに及ぼす影響について、理論的に得られた結果を報告する。
i) 有害突然変異率は自殖の進化が可能であるかどうかに影響することに注目した。自殖集団と他殖集団のシミュレーションをそれぞれの繁殖様式が安定となるような有害突然変異率の下で行い、自殖集団のほうが有害突然変異を蓄積しにくい場合があることを示した。
ii) ほとんどの自殖集団に見られる低頻度の他殖に注目してシミュレーションを行った。数パーセント程度の他殖が有害突然変異の蓄積を大きく抑えることが示された。