| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T31 -- 3月18日17:30-19:30 K会場
ダーウィン以来、近親交配は進化生態学の中心課題のひとつである。近親交配研究の目的は、つまるところ「外」のゲノムを取り入れずに繁殖することの短期的・長期的な有利・不利、そしてその進化のもたらす帰結を明らかにすることにある。近親交配は系統群によらない極めて普遍的な現象であるものの、動物ではその回避行動に、社会性昆虫ではコロニーの機能との関係に、植物ではポリネーターとの相互作用になど、これまでそれぞれの材料に特化した議論が多かった。本集会では、動物・植物といった材料の垣根を越えて、近親交配の適応的意義やその進化的起源と帰結を問い直す。近交弱勢、遺伝子の伝達効率、確実な繁殖の保証といった近親交配の適応度効果や、集団の絶滅リスク、性配分の進化などの近親交配のもたらす進化的帰結を、フィールドワーク・室内実験・数理モデル・分子系統学・ゲノミクスなどの多様な手法から迫った若手研究者による研究例を紹介し、近親交配研究の今後の展望を議論したい。
コメンテーター:土畑重人(東大・広域システム)
[T31-1] 近親交配回避とメスの多回交尾:配偶相手の血縁に応じたアズキゾウムシの交尾行動
[T31-2] 生殖システムからみた性配分問題:単為生殖の存在が性配分戦略に与える影響
[T31-3] オオバナノエンレイソウにおける繁殖様式の集団分化―自家和合・不和合・雄性不稔
[T31-4] 自殖の進化と絶滅リスク〜有害突然変異が運命を左右する?〜
[T31-5] シロイヌナズナ属における自家不和合性崩壊の突然変異のパターンとその適応的意義