| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-253

兵庫県における過去19年のナラ枯れ被害拡大様式

*伊東康人,山瀬敬太郎(兵庫農技総セ),山崎理正(京大院・農)

カシノナガキクイムシ Platypus quercivorus が運搬する病原菌 Raffaelea quercivora によって引き起こされるブナ科樹木の集団枯死(ナラ枯れ)が,近年各地で問題となっている.樹木個体や林分レベルでのカシノナガキクイムシの寄主木選択様式が明らかになってきた一方で,広域レベルでの被害拡大様式はほとんど明らかにされていない.そこで本研究では,兵庫県(8,395km2)における過去19年のナラ枯れ被害拡大様式を解析し,被害発生確率に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とした.

データは,1992年から2010年にかけて兵庫県の旧市町(91区画)ごとに記録されたナラ枯れ被害発生量データ,気象庁の気象データ,環境省の植生データ(1994~1998年に調査)を利用した.前年の近隣区画の被害発生量を空間重み行列で考慮した上で,各年の各区画における被害発生有無を応答変数とした一般化線形モデルを構築した.説明変数の候補としては,被害発生前年度夏季(6~11月)の平均気温および平均降水量,被害発生前年度冬季(12~5月)の平均積雪深および平均降水量,被害発生当年度夏季(6~11月)の平均気温および平均降水量,各区画内の人工林・コナラ群落・ミズナラ群落・アカマツ群落の各面積を検討した.モデル選択の結果から, 気候変動がカシノナガキクイムシとその共生菌にとっての生息環境に及ぼす影響,植生変化がナラ枯れ被害拡大に及ぼす影響について考察する.


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