| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-303

放鳥されたトキの採餌環境特性

*蛯原香理(新潟大・自然科学),遠藤千尋(新潟大・超域),西川潮(新潟大・超域),渡辺竜五(佐渡市役所・生物多様性),関島恒夫(新潟大・自然科学)

佐渡島では、2008年以降トキの試験放鳥が実施され、トキの野生復帰が進められている。これまでに、トキの絶滅要因として土地利用の変化や農業の近代化による餌生物量や好適な採餌環境の減少が挙げられている。それらを踏まえ、現在佐渡島では餌生物の生息環境の改善やトキの採餌環境の保全・再生を目的に掲げ、休耕田の湛水化、環境保全型農業の普及、江の創出、魚道の設置などさまざまな取り組みが行われている。これらの取り組みをより効果的に行うためには、トキが好む景観において餌資源が豊富、かつトキにとって利用しやすい局所環境(草丈・水深など)を持つ水田の保全・再生を進めていくことが重要である。しかしながら、佐渡島において放鳥されたトキの採餌環境特性に関する景観的、および局所的な情報は十分でない。そこで本研究では、農事歴とトキの行動から1年を4期間に区切り、トキの採餌利用を目的変数、局所要因(水深や草丈など)や景観要因(周囲の森林面積など)を説明変数として統計モデル解析を行いトキの採餌環境の特性を抽出した。また、トキが採餌する水田が餌資源の点においてどのような特性をもつのかを検討するために、トキの採餌利用水田と非利用水田において生物の定量調査を行い餌候補生物の現存量や多様性を比較した。これらの結果より明らかとなった採餌利用環境の特性に基づいて、佐渡島におけるトキの採餌環境の保全・再生適地を予測する。


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