| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-316

生息地破壊と絶滅のモデルによる解析:面積減少よりも分断化が重要?

*林木悠佳里,兵庫県立大学環境人間学部

環境破壊などにより生息地が減少した際に絶滅が起こることがあるが、この絶滅への影響については、大きく分けて生息地面積の減少と生息地分断化の2つの要因が考えられる。本講演では、生息地破壊・減少におけるこれらの影響について、空間の効果という観点から、2種の生物の存在するモデル生態系を用いて解析を行った結果を報告する。モデル生態系として、2次元格子上に2種の生物を配置する。生息地破壊を実現するため、この格子と格子の間を破壊することによって生息地の繋がりを破壊するボンド破壊モデルを、また、格子自体を破壊するサイト破壊モデル、用いて、計算機シミュレーションにより生息地の破壊面積と分断化の影響を解析した。シミュレーションの結果、サイト破壊のモデルでは、全体の生息地の面積は同じでも、生息地破壊によって、生息地が分断化し個々の生息地の大きさが変化すると、個体数密度が急激に減少し、絶滅に至ることがわかった。また、同程度の生息地の破壊では、連続サイト破壊とサイト破壊のモデルを比較してみたところ、差異はあまり見られなかったが、サイト破壊とボンド破壊では、差異が見られた。このとき、個々の生息地の大きさを測定すると、ボンド破壊、サイト破壊共に減少していたが、ボンド破壊では、減少が見られなかった。これは、生息地破壊における生息地分断化が、個体群の減少や絶滅に、影響を与えていることを示唆している。生息地破壊における個体群動態の反応は、生息地の面積だけではなく、そのパターンや繋がり(分断化)の影響にも依存することを示唆している。


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