| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-321

釧路湿原の長期生態系モニタリング ”モニタリング1000事業”

*野原精一(国立環境研),佐藤雅俊(帯広畜産大学),照井滋晴(環境把握推進ネットワーク-PEG)

環境省では、我が国の代表的な生態系の状態を長期的かつ定量的なモニタリングにすることにより、種の減少、種組成の変化等、その異変をいち早く検出し、適切な自然環境保全施策に資することを目的に、「重要生態系監視地域モニタリング推進事業」(モニタリングサイト1000事業)を実施している。そのサイトの一つである釧路湿原は北海道釧路平野に位置する日本最大の湿地である。その大部分はヨシ-スゲ湿原で、ミズゴケ湿原も一部あり、タンチョウ、イトウやキタサンショウウオ等の希少な生物種の多く生息する。【水文・水質・地質調査】釧路湿原の物質・水循環を評価するため、湿原の水文、地下水質・地質の各環境のモニタリングを実施した。自記式水位計 塩ビパイプを湿原に立て、経時的水位を計測した。水質の測定用に、塩ビパイプの採水用井戸を20ヶ所に設置し、ティドビット水温計、水質計を設置し水文環境を観測後、各井戸から採水し水質分析を実施した。【植生調査】釧路湿原の丘陵から高層湿原までの範囲において植生調査と簡易な測量を行った。植生調査区内(1m×1mの方形区)に出現した植物の被度を記録した。チャミズゴケ、ムジナスゲ、ハンノキ林、及びヨシの4つの植生タイプを選びコドラートを配置した。計20個のコドラートで調査した結果、自然高の平均値と平均出現種数は、チャミズゴケ区で32cmと8.2種、ムジナスゲ区で80cmと12.6種、ハンノキ林区で88cmと12.0種、及びヨシ区で182cmと10.0種となった。一方、平均植被率はいずれの区でも80%以上であった。二元指標種分析結果、チャミズゴケ区(5)、ヨシ区(5)は類似度が高く同じ植生区に類型化されたが、ハンノキ区(3)、ムジナスゲ区(7)となり、ハンノキ区の2方形区がムジナスゲ区と類似性が高くなっていた。20方形区で確認された全種数は51であった。


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