| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-175
北海道に生息するエゾヤチネズミ(Myodes rufocanus)は、行動範囲が狭く分散能力に乏しいことから、各集団は特異的な遺伝的構造を示し、また、3~4年周期の個体数変動を示すことから、各集団は何度もボトルネックの影響を受け、その遺伝的多様性は低いと予測される。そこで本研究では、この予測を検証するため、北海道内の35地点から採集された約700個体のmtDNA調節領域を分析し、各集団の遺伝的構造と遺伝的多様性を解析した。その結果、各集団はそれぞれ特異的な遺伝的構造を示した。しかし、遺伝的多様性においては、170種類以上のハプロタイプが見つかり、予測に反して、各集団におけるハプロタイプ多様度は高い値を示した。このきわめて高い遺伝的多様性を導いている要因について、生態学的視点と進化的視点の双方を考慮し、考察を行う。