| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-223
霧ヶ峰高原では1970年代から外来植物の侵入・定着が確認されており、在来生態系や景観への影響が問題とされている。玉垣ら(2009)の調査によって、ヒメジョオン類およびマツヨイグサ類、イタチハギの分布と、標高や車道との距離など立地環境条件との関連が明らかになった。しかし調査地点が半径5mと大きく、より詳細な立地環境との関連を解明するには、より小さなスケールの調査枠を用いたさらなる調査が必要だと指摘された。そこで本研究では、2010年夏季に同地域において外来植物の分布調査を1㎡という小スケールの調査面積で行い、より詳細な立地環境条件との関連を明らかにすることを目的とした。
分布調査は強清水や沢渡等の6地域で実施した。各調査区域は500m×500mとして、地図上で50m毎にメッシュを作成し、その交点を中心とした1m×1mの調査地点を設定し、計726点で、外来植物の優占度を測定した。また同時に立地環境(在来上位3種の優占度・土壌硬度・裸地面積・撹乱率・車道との距離・登山道との距離)を記録した。また、同地点(726地点)と任意に選んだ外来植物の優占度の高い地点(59地点)のうち143地点(約18%)で土壌含水率と積算日射量を測定した。
ヒメジョオン類は全体の約18%(133地点)、マツヨイグサ類は約13%(96地点)、ヒメスイバは約3%(25地点)で出現した。区域別ではヒメジョオン類の約38%(51地点)は強清水1、約24%(32地点)は沢渡で、マツヨイグサ類の約40%(38地点)は強清水1、約23%(22地点)は池のくるみで、ヒメスイバはほとんど池のくるみで出現した。立地条件としては、標高が1750m以上の地点ではヒメジョオン類とマツヨイグサ類の出現頻度は低かった。発表では裸地面積や土壌硬度、車道・登山道との距離等の撹乱との関係を考察する。